ハープの知識

ハープの知識
 

ハープの基礎知識

 

ハープの種類

一般的に使用されるハープの場合大まかに2種類に分けられる。

グランドハープ/ペダルハープ

オーケストラや吹奏楽に使われるハープでソロにも使用される最も大きく弦の数も多いハープ。弦は47弦・46弦のハープが主。7本のペダルを使用することにより音域も広くほぼピアノに匹敵する。弦の本数や大きさによりフルコンサートタイプとセミコンサートタイプがある。さらに練習用のグランドハープもあるがこれはコンサート用のものに比べて装飾などが省かれている。

アイリッシュハープ/ノンペダルハープ/レバーハープ

グランドピアノより小ぶりなハープでペダルは無く、レバーで音程を切り替える。比較的簡単な曲の演奏や普段の練習などに使われる。持ち運びも容易なので移動して演奏する小コンサートや野外での演奏の際に便利。


ハープの成り立ち

ギリシャ神話にも登場する「堅琴(たてごと)」は何千年もかけて発達したが、1810年にグランドピアノのレペティションレバーの発明でも有名なフランスのエラールにより現代使われているものとほぼ同様のハープが完成した。


ハープの構造

LinkIcon ハープ各部の名称図
垂直に立った円柱状の部分は「支柱」、支柱の最上部の頭の部分を「クラウン」、支柱に対し斜めに取り付けられ弦の下部が固定されているものを「響鳴板/サウンドボード」、響鳴板を含む中空の箱の部分を「共鳴胴/サウンドボディ」と呼ぶ。共鳴胴は一般的に下方が太く上方が細い半円の断面をもっている。
上部のハープ特有のカーブをもつ部分は「腕木」、全体を支えている一番下の部分は 「台座」と呼ばれる。
支柱は一般的に外側が木製だが本体は金属製。その表面にはギリシア神話の彫刻を思わせるような装飾が施されているものもある。支柱の内部は空胴でその中にはペダル機構の機械部が通っている。
唐草模様などの装飾が描かれている左右対称の板は共鳴板で、張り出した部分は羽と呼ばれる。一列に張られた弦の下端がこの共鳴板の中心に沿って固定されている。
「プレート」は弦の上端止めている部分にある金属製の板。各弦は「チューニングピン」と呼ばれる鉄製のピンに巻かれていて、ピアノのようにピンを回すことによって音程を変え調律が行なわれる。ハープの場合は弦の張力がピアノのように大きくないため、ピアノ調律のような長い柄をもったチューニングハンマーではなく、チェンバロの調律に使うようなT型のチューニングレンチを用いる。このプレートの部分には複雑なペダル機構の主要部が内蔵されている。
台座は楽器全体を保持するために広い底面積を持ち、さらに放射状に延びた脚が付いている。台座には音程を変えるためのペダルが右に4本、左に3本の合計7本演奏者向きに取り付けられている。
LinkIcon ハープ各部の名称図


ハープのサイズ

全高は国産のフルコンサートグランドハープで約188183cm、セミコンサードグランドハープで約180cm、練習用グランドハープで約170cm程度、アイリッシュハープで150140cm
重量はフルコンサートグランドハープで35kg前後、セミコンサードグランドハープで3231kg程、練習用グランドハープで30kg程度、アイリッシュハープで1510kg。


ハープの弦 

弦は一般的にフルコンサートグランドハープで47弦、セミコンサードグランドハープで46弦、練習用グランドハープで46弦又は42弦、アイリッシュハープで36弦又は34弦。
弦はピアノのように半音ごとに張られているのではなく、ピアノの白鍵だけのように1オクターヴ7本で張られている。音域は広く、ほぼピアノの音域に匹敵する。
 
弦の材質は楽器や音域の部分によるが、一般的なグランドハープの場合は高音域はクラシックギターのようなナイロン弦、中音域は羊の腸で作られたガット弦、低音弦ではピアノの低音域のような金属弦(巻き線)が使用される。アイリッシュハープは中~高音域がナイロン弦、低音域が巻き線が一般的。
弦は演奏ミスを無くすために各オクターヴとも「C」の弦は赤く、「F」の弦は青く着色されている。


 グランドハープのペダル

ハープの弦はオクターヴごとに7本しかないがペダル機構を操作することによりあらゆる音を鳴らすことができる。そのためどのような調性の曲でも演奏可能になる。
台座から7個のペダルが出ているが、右側の4個は「AGFE」の各音を操作する。左側の3個は「DCH」の各音を操作する。それぞれのペダル特有の階段型の 穴から出ている。
ペダルが上段のときその音は♭、中段で♮、下段で#となる。
この音程の変化は1本の弦に対し2個ずつ設けられた「ディスク」がペダルによって回転し弦長を3段階に切り換えられるようになっている。
この機構は全オクターヴの同名の音の弦に連動するようになっている。
ハープの外見は古楽器のように単純な楽器に見えるが、実際は精密な設計と近代的な構造によりが複雑で精巧な機械を持つ楽器となっている。


 ハープの奏法

ハープ奏者は自分のほうに楽器を傾け、右肩に共鳴胴をもたせかける様ににして弦の両面から両手で弾奏する。
両手とも小指以外の4指のみ合計8本で演奏される。
ハープの演奏で特徴的なのは、何といってもグリッサンド。片手または両手で奏されるこの効果は、ソロでもオーケストラでも非常に劇的な効果を生み出す。