ホルンの種類
ホルンの種類
フルダブルホルン
フルダブルホルン
第4バルブの位置により、大きく分けてクノッフタイプ/ガイアータイプ(第3バルブ側)、クルスぺタイプ(第1バルブ側)の種類がある。一般的にはクノッフ式の方が抵抗が少なく吹きやすく、クルスぺ式の方が音が豊かではあるが、抵抗が強いため上級者向けとされる。だが実際にはメーカーや機種、個人差によるので購入の際には吹き比べることが望ましい。
この種類の代表的機種としてはアレキサンダー103が最も有名で、世界のトッププロプレイヤーの多くに使われている。
セミダブルホルン
セミダブルホルン
フルトリプルホルン、セミトリプルホルン
フルトリプルホルン
Fシングルホルン
F管のみのシンプルなホルンの種類。ホルンの原型ともいえる基本の構造なので最もホルンらしい音が出る。このためこの種類のホルンは初心者がホルンの音を作るのに最適である。Fシングルでロングトーンやリップスラーなどよく練習し上手く吹くことができるようになれば、フルダブルホルンは非常に演奏しやすく感じるし、音も良くなる。しかし音を外すリスクが高いため本番で使うことは殆どない。音色の維持のためにウォームアップにFシングルを使うプロ奏者もいる。
B♭シングルホルン
FシングルとB♭シングル
デスカントホルン
デスカントシングルとダブル
特にハイトーンだけ演奏する特殊な場合にはデスカントシングル(ハイFシングル)を使う場合も稀にある。またトリプルホルンを使う代わりに、ハイFシングルとフルダブルを持ち替え使用する場合もある。
ナチュラルホルン
ホルンの原型と言っていいバルブの付いていないホルンの種類。ボーゲンと呼ばれる丸く巻かれたマウスパイプを取り換えることによりF管の他にも様々な調で演奏できる。この種類はバルブが無いため演奏は非常に困難で、音階を吹くにはゲシュトップ奏法やハーフストップを駆使する必要がある。古楽演奏の専門家や趣味、訓練で使う場合が殆ど。丁度ベートーヴェンの時代、ナチュラルホルンからバルブホルンに代わっていったと言われている。
ウィンナホルン
主にウィーンを中心とした地域で用いられるFシングルホルンの種類。プロのオーケストラで常用しているのはウィーンフィルやウィーン交響楽団、フォルクスオパーぐらい。Fシングルのため演奏は非常に困難で音を外しやすいが、柔らかく温かい最もホルンらしい美しい音色で、フォルテ時には音楽性のある割れた音が出せることから、上記の楽団はあえてこの伝統のホルンを使っている。構造的な特徴としては普通のホルンのほとんどはロータリーバルブを使用しているが、ウィンナホルンは2本で1対のピストン型のバルブ(ウインナバルブ)を使用している(計6本)。またナチュラルホルンのようにマウスパイプには丸く巻かれたボーゲンを使用する。ベルにはベルクランツ(響き止めとも言われる)が取り付けられている。余分な部品は付けない伝統のため左手の小指掛けも無い。マウスピースもウィンナホルン専用の種類を使うことが多い。
30年ほど前ウィーンやオーストリアでウィンナホルンを作るメーカーが次々と廃業していったため、楽器の存続が危ぶまれた時期があったが、ウィーンフィルの依頼でヤマハが製造に乗り出し復活。現在はウィンナホルンを作るメーカーも増え、手に入れることは比較的容易になってきた。